平成28年度の自己点検・自己評価

平成28年度の自己点検・自己評価

 達成目標の進捗状況    28年度の実績

 前年度に引き続き、中山間地域・ 島しょ部をフィールドに、「地域を知る」、「地域と関わる」、「地域と協働する」を踏まえた3段階の地域志向型教育を実施した。1年生を対象にした「教養ゼミ(必修)」を出発点にしながら、地域で活躍する人材を招聘する「特別講座(選択)」、「地域志向インターンシップ」など、COC関連科目(選択科目)の充実と体系化が学年進行に伴って成果をあげてきた。インターンシップに参加する学生が増えたのが大きな成果であった。高学年の学生の中には継続的に地域課題に取り組む動きがでてきた。

 第3回円卓 フォーラムでは、連携市町・地域の出席者から、体験学習・インターンシップ、調査や卒論等を通じて、学生が地域に新たな魅力を発見し、自ら進んで調査研究する仕組みづくりができた、との評価をいただいた。地域・市町と大学が共同し、現在及び将来の人材を中長期的な視点で育てることができつつあることが確認された。連携地域の活性化の一つとして、大学生や若者を地域に受け入れる基盤作りが進むことが期待されている。体験学習、インターンシップ等により、地域農漁業資源が活用される可能性があり、大学のアイデアと技術を活かした商品づくりの動きにつながる。学生や若者の目を通して、農漁村社会や文化を再評価する動きがでてきた、との報告を参加者からいただいた。

28年度の活動延べ人数は7,112人、学生延べ4,299人、教職員延べ952人、地域・市町延べ1,671人であった。その他190人であった。学生による地域商品の実現1 件、連携市町・地域が参加したマルシェの開催、学生による地域ボランティア活動が活発になるなど、数値には現れない多彩な活動が行われた。新聞等のメディアによる活動紹介が計17回あった。

 

 教育カリキュラム改革を含む事業目標達成のための各種取組    

  教育改革】   中山間地域・島しょ部領域では、1年前期の教養ゼミにおいて実施される、PBL方式を採用した体験学習、地域学習方法を開発し、マニュアル化した。また、昨年度に確立したインターンシップの運営の仕方にもとづき、その内容充実に努めた。インターンシップの充実が今年度の活動の中でも顕著な成果であった。地域志向型教育を持続的に実施するには、フィールド教育を始め、地域と深く関わる教育研究分野に応用できるシステムにしていく必要がある。地域と大学で得たノウハウを蓄積し、持続的で効率的な人材育成プログラムの構築を目指していく段階に入ったことが確認されている。

  【事業の成果と改善】   1年次生が参加する体験学習はすでに学生・教職員の間に定着した活動になった。この活動に参加した学生の97%が満足と答えており、評点は5点満点中の4.5点であった。学生を受け入れた連携市町による活動評価は高く、COCの活動を通して大学との連携が強化されたと判断した。前年度からの課題であった全学対応の活動もは可能な範囲で実施した。特別講座、インターンシップに参加する学生が増え、彼らの活動への参加の度合いも強まっている。一方、教養ゼミ等を担当するチューター教員の理解度が高まり、教育はもとより、研究を通して地域に関わる姿勢もみられるようになった。事業終了後に向けて、地域志向型教育を担当する教員の認識向上、効率よく運営していける事務体制の確立に向けて準備を整えることができた。

  【自治体等との連携・評価: ステークホルダーの支援の実施】  今年度も引き続き、地域志向型教育にご協力いただける市町や地域を訪問し、運営の仕方等について打ち合わせを行うとともに、活動終了後にはアンケートをお願いして意見を汲み取った。地方創生活動計画のなかに大学との連携が位置付いていると、評価をしていただく地域もある。道の駅ゆめランド布野・三次市と生物生産学部の学生・院生による酒粕アイス(オリゼさんのアイ酒)共同開発が完成した。地域商品の開発、環境調査、農業経営・市場調査等では、教員がもつ知識がフルに活用されている。連携地域との日常的なつながりが、様々な活動の広がりをもたらした。

外部評価等の実施と反映】  「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」の実施状況や成果、事業の継続・発展性の見通しなどを評価する、平成28年度評価が実施された。これとは別に、参加した学生、教職員、ご協力をいただいた市町・地域に対してアンケート記入をお願いし、その結果を反映させた。第3回円卓フォーラムでは、参加者がグループに分かれて討論し、教養ゼミとインターンシップに焦点をあてて、地域と学生の視点から評価し、今後の活動に向けての助言をいただいた。関係者意識の変化を把握し、本事業の意義の周知をはかりながら教育カリキュラム改革を進め、地域志向に対する学生の主体的な意識向上と行動につなげた。それらを踏まえて、29年度計画を作成した。

実施体制・事業の継続発展】   生物生産学部を中心にした中山間地域・島しょ部対策領域では、COCプログラムが教育を軸に、地域連携、社会貢献、地域課題研究という包括的な内容をもった活動であることを前提に運営してきた。事業終了後を見据えて、中山間地域島しょ部対応の地域志向教育を維持できるように、活動及び事務諸手続の簡素化、コスト低減をいかに進めるかについても、あわせて検討を開始した。平成29年度には、体験学習の対象地域を少なくすることを決定した。その一方、これまで蓄積してきた地域教育に関する諸資料を有効に活用できるように努めた。COC担当が定期的に執行部、教務委員会、学生支援室に活動状況を報告し、事業継続に向けた準備を行った。

【特記事項:平成28年度評価、改善活動について】 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」の実施状況や成果、事業の継続・発展性の見通しなどを評価するために、平成28年度評価が実施された。本学のCOC事業は評価対象になり、中山間地域・島しょ部領域対策では、本部の指示にもとづき「進捗状況報告書」の原案を提出した。

広島大学全体に対する評価はC、きわめて厳しい内容となった。中山間地域・島しょ部領域対策については、全学的な展開につながる取組としては十分であるとは言えない、との評価コメントが付けられた。本領域では具体的な数値を示しながら全学展開がなされているという意見申立を行った。過去3カ年の間、すでに7学部の学生が関係科目及び活動に多数参加・受講している。取り組みの結果、学生の地域志向への認識も高まっている。評価側の回答において、「一定の取り組みが認められる」、としていただいた。

 

地(知)の拠点大学による地方創生推進事業 広島大学COC中山間地域島しょ部領域トップへ