27地域志向インターンシップ 東広島市トムミルクファーム

インターンシップの概要

 トムミルクファームは、東広島市豊栄町乃美にある地域で有名な牧場です。水稲、畑作、酪農の複合型業からスタートし、現在は酪農、畑作、周辺農地の作業の請負、牛製品の製造販売等をおこなっています。早くから牧場の持続的経営を考え、家族経営主体から雇用労働型へシフトさせ、酪農を志す若者とむを多く雇用しています。牧場では、酪農業の他に自社で搾乳した牛乳をつかった定温殺菌牛乳、ジェラート、プリンなどを製造、販売し、敷地内にはまきばカフェも経営しています。体験型牧場として、一般客むけにバター作りや子牛の哺乳体験、乳搾り体験、命と食べ物のつながりについての講義など様々な体験メニューを提供しています。豊栄町の農業の担い手として、また地域の主要な観光名所のひとつとして、重要な役割を果たしています。

 今年度は、8月17日~21日、8月24日~28日、9月14日~18日の3回にわたって、4泊5日の研修を受け入れていただき、合計5名の学生が参加しました。インターンシップを通じて学生は、酪農や農作業の実践や、6次産業化への実態を理解する、高い衛生管理が求められる乳製品の製造現場を知りたい、地方創生の基盤産業である1次産業従事者の生の声を聞きたい、などを希望していました。

 実習の内容

 実習の内容は当日の作業状況によって異なりますが、主に以下のような作業や研修を行いました。

・朝夕の餌やり・牛乳やアイスの填充、包装
・牛舎、羊・豚・山羊・ロバ小屋の掃除・まきばカフェでの作業
・牧草の刈り入れ、サイレージづくり・商品の配達作業
・牛の人工授精の見学・キャベツの収穫、キャベツの苗の植え付け
・搾乳や牛乳の低温殺菌工場の見学・獣害柵の設置、等
・牛乳瓶、プリン容器の洗浄 

tomuaisu

学生の研修報告

・生物生産学部2年生

 食品科学コースを選択しており、生産現場のなかでも乳製品など衛生管理が厳しい食品を扱うところに参加したいと考えた。また、トムミルクファームは6次産業化に取組んでおり、牧場、加工場、観光地としての様々な側面をもつため多様な経験ができると思った。

img12aja2816_1 最も印象に残ったのは、牛乳の殺菌工場で、低温殺菌のため1日がかりの作業で重労働であった。安全な牛乳を提供するために、牛乳が通るパイプを毎回洗浄し、組み立てていた。官能検査で試飲した牛乳は、特有の生臭さがなく、口当たりがまろやかで驚いた。消費者は安いものを求めがちだが、商品になるまでにどのような手間がかかっているか、そのうえで品質の高さを知ってもらうことが必要だと思った。 

・生物生産学部2年生

 将来、就農することはあまり考えていないが、地域創生や地域おこしに関わることをしたいと考えており、農業や酪農、漁業などの1次産業に従事している方の話を直接聞く機会がほしかった。インターンシップを通じて、机上の空論で物事を知ったような口をしても意味がないことを改めて思った。農作業は天候に左右され、自分の思うようにいかない。雨が降ると土がぬかるみ、うまく機械が動かず手直しの作業が増えた。トムミルクファームでは、酪農、畑作、加工品づくりなどを組み合わせた経営をしている。年間の作業内容を維持し、収益の確保につなげているように感じた。一方、沖社長と話しながら、トムミルクファームや地域を支えていく人材の育成に苦労しているようにみえた。今回のインターンシップを受入れてくださったのは、沖社長が日々悩みながら、それでも何とかしようと努力されているからであると感じた。

IMG_0719 研修を通じて、地方創生や地域おこしに必要なのは地域に根付いた農業や酪農などの1次産業だと思った。日本全体のことを考えると単に農業従事者や人口を増やすだけではなく、半農半〇や週末の農作業体験といった様々な形で農業や地域に関わる人を増やす必要がある。消費者が農業の持つ生産面での機能だけでなく多面的な機能についてより深く認識することは、地域の一次産業を盛り上げていくことにもつながると考える。

・生物生産学部2年生

 トムミルクファームでは、6次産業をしており、畜産、農業、加工、販売の全てを経験できると思い参加した。研修では、キャベツの植え付け作業が一番大変であった。天候が悪く、畑の土のコンディションがよくなかったため、手直しの作業がたくさんあった。牧場での作業は、初めてだったが牛に抵抗なく触れるようになり愛着がわいてきた。

 6916-150x150農作業は単純作業が多いが、作業が長時間なので大変であった。農作業を少ししただけで、大変だと口にするのはよくないと感じた。天候によって当日の作業を考えるのは当たり前だと思っていたが、実際には天候と出荷の時期を考えて細かなスケジュールを立てながら作業をしていた。とても経験が必要な仕事だと感じた。トムミルクファームで働く方々が、この仕事が好きで、経営をよくしていこうと努力されていた。若い社員も多いトムミルクファームには、魅力があると感じた。

 研修中、地域で開かれた豊栄・川内・福富の地域を活性化させようと協力して取組んでいる会議に出席させていただいた。中山間地域に住む方がどのような危機感を持っているか、直に感じることができた。研修を通じて、中山間地域について改めて深く考えるきっかけとなった。