インターンシップの概要
安芸太田町井仁地区では、8月31日から9月4日までの4泊5日のあいだ、インターンシップを受入れていただきました。参加した学生は、生物生産学部1年生3名、2年生1名、総合科学部1年生1名、教育学部2年生1名の合計6名です。
インターンシップをおこなう上での地域での調整やプログラムづくりは、安芸太田町役場の方がおこないました。研修を受入れてくださったのは、井仁地区および、いにぴちゅ会の方々、井仁を担当する地域おこし協力隊の方です。地域の様々な方が、学生の日々の活動を支援してくださいました。
主な研修内容は、棚田に流れる山からの水路にたまった泥や枯れ枝を取り除く作業、無人となった家に植えてある木の枝打ち作業、井仁地区の周りにある獣害対策柵にからまった雑草やつたを取り除く作業、ホンモコロ養殖の水揚げ作業、ワークショップです。
宿泊先は、井仁地区にある小学校を再利用した交流館です。日々の食事には、地域の方との会食や安芸太田町役場の方がアレンジしてくださった地元の飲食店で食事をいただきました。
研修中は、様々な地域の方が学生に声をかけてくださり、学生は今回の実習内容が地域にとってなぜ必要な作業なのか、直接聞くことができました。限界集落とよばれる地域が、どのような課題を抱えているのか、深く考えるきっかけになったようです。
実習の内容
学生は、井仁地区で以下のような実習をおこないました。
8/31(月) | ・井仁の自治会、いにぴちゅ会、安芸太田町役場の方、地域おこし協力隊の方と対面式。 井仁地区についてのガイダンスを受ける ・山に入って水路掃除 |
9/1(火) | ・民家に植えてある木の枝打ち、掃除作業 |
9/2(水) | ・獣害対策柵にからまった雑草やつたの撤去、水路掃除 ・地域の方が作業をしやすいように山に倒れている木などを撤去 |
9/3(木) | ・前日の作業の続き ・井仁で学んだことを考えるワークショップ |
9/4(金) | ・ホンモロコ養殖池の清掃と収穫作業 ・ホンモロコの試食 |
学生の報告
・教育学部2年生
生物生産学部の「中山間地域・島しょ部連携特別講座」で安芸太田町役場の方の講演を聞き、人口減少や高齢化に直面している地域の現状を直接行って知りたいと感じて参加した。研修を通じて、集落を「人が住めるところ」として維持していくには、水路の維持管理、空き家の手入れ、獣害対策など様々な作業が限りなくあることがわかった。棚田百選に選ばれている井仁の棚田だが、生産者の体力が衰え、耕作放棄せざる得ないところも増えている。体験を通じて、中山間地域の過疎化や高齢化問題の対応策は、手探りの状態で「地方創生」の手立てとして明確なものがないと感じた。現在おこなわれている対策も、現時点では良策かどうかの判断ができない。ただ、地域に住む人が最後までここに住んでいてよかったと思える地域づくりが必要なのだと感じた。自分なりにできることを今後も考えていきたいと思う。
・生物生産学部2年生
生物生産学部の「中山間地域・島しょ部連携特別講座」で安芸太田町役場の方の講演を聞き、限界集落と呼ばれる地域で住民の方や自治体、地域おこし協力隊の方がどういった取組をしているか興味をもって参加した。体験を通じて、井仁地区の方々の行動力と問題意識の高さを感じた。私はこれまで地元や東広島市内などで高齢化・過疎化などに悩んでいる地域をいくつかみてきた。井仁地区の方々ほど「自分たちみんなで地域の問題を解決しよう」という意識の高い地域は、他になかったように思う。地域で取り組まれている、棚田体験会や観光の取組、棚田オーナ―制度、獣害対策、耕作放棄された棚田を利用したホンモロコ養殖は、井仁地区に住む方の気質・地域性があってこそ成り立っているように感じた。今回のインターンシップは、井仁地区の現状を知り、問題点やその解決に向けた取り組みをみることができた。こうした地域には、単発に訪れるだけでなく、継続的にかかわっていくことが重要であると実感した。インターンシップでは、自分の知識や経験を蓄積するだけでなく、再び井仁を訪れるきっかけにいたいと思っている。
・総合科学部1年生
インターンシップに参加し、自分の過疎地域に対する曖昧な思い込みを変え、就職に向けて何かを感じたいと思いインターンシップに参加した。研修では、地域の方が獣害対策に苦労していることや集落には若い人が少なく、地域を存続していくことに諦めの気持ちを持つ人もいることを知った。一方で、過疎地域に暮らしている方たちの日々の努力や優しさに触れることができた。これまで過疎地域が廃れていくのは仕方がないと考えていたが、地域の方々が諦めずに頑張っている姿をみて、自分の考え方を変えていく必要があると感じた。
・生物生産学部1年生
教養ゼミ体験学習で井仁に行ったことがきっかけで、今回のインターンシップに応募した。今回の水路掃除や鳥獣害対策柵など体力の必要な研修を通じて、地域に若い人が少なく、人口が少ないことが集落を維持していくうえで大きな問題になっていると感じた。今回のインターンシップは、短期的には地域の役に立てたかもしれないが、地域では長期的な若者の受け入れを希望している。地域の維持活動に、若者が継続的にかかわれる仕組みとして、色々な人が参加しやすいアルバイトなどがあれば、自分はまた参加してみたいと考えている。