「安芸太田町の地域づくり」
安芸太田町役場 建設課課長補佐(元地域づくり課)長尾航治 氏<平成27年5月13日 16:20-17:30 於生物生産学部 C201教室> |
安芸太田町は約9割が森林、人口6、895人のうち65才以上が5割越、20~30代の生産人口が特に少ない中、過疎地域対策に取り組んでいます。なぜ過疎地域対策が必要か?豊かな美しい自然景観を守るためばかりでなく、継承すべき文化・技術がそこにある。加えて、安芸太田町は広島県南部の取水源太田川の水源・上流域。町が人口減少を食い止め、山林を守り、田畑を維持することは、太田川の保水、広島県南部の飲料水確保のために必須なのです。
現在、安芸太田町では、太田川清流講座、石垣講座、森林セラピー、神楽、林業体験、教育体験受入地(民泊、カヌー、農業体験etc)など、都市部住民を呼び込むさまざまな企画を実施、若い世代定住のための裾野を広げています。
国策にも助けられ、財政面では、町の歳入83億(H26)の約5割が地方交付税。町債(歳入の約2割)も、過疎地域自立支援特別措置法(平成12年~)・辺地対策法等のもと、事業内容により、返済時に元金の7-8割が特別交付税で補填される仕組みとなっています。
長期的には、県の長期総合計画のもと、2010年、民間・大学関係者の意見を聞きつつ、産業・観光・集落再生を3つの柱に 安芸太田町未来戦略計画 を策定。うち集落再生については、従来の行政主導型を脱却した官民協働型をめざし、町内の地域がそれぞれ「地域マスタープラン」を策定、活動。広島大学も井仁地域のマスタープラン作りに参加、たいへん貢献してもらいました。
加えて大切なのは人的資源。現在、国の「地域おこし協力隊」制度により、隊員数名が町内に住み、活躍、町が活性化しています。若い人たちが出入りするだけで、高齢の住民は刺激を受け、元気をもらいます。日帰りでも、学生さんの訪問はいつでも大歓迎です。
現在、ご自身(長尾さん)が、集落再生の解決策として考えていること:1)集落の目的・目標を明確化することで行政側の支援体制の確立が図れる。2)自治組織の体制を強化することで次のステップに進める。「安芸太田町は歴史が古く、縄文以前から人が住み続けてきた地域であり、そのような長い間、人がつちかってきたものを守っていくのが、定年までの私の仕事と思っています。」