地域と共にあり続ける~瀬戸田のパティシエの取組み~
株式会社島ごころ 代表取締役社長奥本隆三 氏<平成27年4月22日 16:20-17:50 於生物生産学部C201> |
広島県瀬戸田町出身の奥本氏は大阪の製菓学校卒業後、神戸の製菓店でパティシエとして勤務、その後2008年、ふるさと瀬戸田町に製菓店を開業しました。開店当初は、「神戸の情報を瀬戸田で発信」がコンセプト。オープン時は売れに売れたもののやがて売上げが半減、お客様の「瀬戸田のおみやげはないの?」の声をきっかけに、瀬戸田の名産品レモンを使った「レモンケーキ」の開発をめざします。瀬戸田は、日本一のレモン生産県広島県の中でも有数の産地。しかし、レモンケーキとしては後発、奥本氏は、素材のレモンを徹底研究、レモンの皮のみをジャムにして生地に練りこむオリジナルレモンケーキ「島ごころ」にたどりつきました。島ごころはレモン以外の素材も厳選、作る工程にも手作業を多く残し、個装の帯巻、箱作り、包装など、機械化せず人手で行っています。あえて非効率をするから人には誰にもまねできないものができる、機械化せず、地元の雇用も守り続けています。
島ごころは、1個220円。安売りせず、地道にコツコツ本物をと、販路を広め売り上げを伸ばしてきました。グッドデザイン賞、フード・アクション・ニッポンアワード、2015年モンドセレクション金賞など、これまで数々の賞を受賞。
成功拡大している今だからこそ、従業員(49名)のコミュニケーションを大切に。1日8時間週40時間労働、女性でも働きやすい職場環境を心がけ、異業種からの転職者を多く受入れています。
2014年秋には、フランスで広島の食文化を伝えるイベントに出店、こだわり本物志向の「島ごころ」は多くのフランス人の共感を得ました。また、奥本さんは、パリの街の様子から、街中のゴミ箱の存在が観光客の消費を後押ししているのを実感、瀬戸田にもゴミ箱の設置をプラン。公園を作ることも計画、民間がタッグを組んで、観光地のビジネスモデルを作っていこうと活動しています。2016年秋には、新装開店ユニークなデザインの建物「島ごころ館」もオーブン、木次乳業の牛乳を使用した「バトンケーキ島ごころ」も売り出し中。パティスリおくもとが目指す「本物」に価値を見出し、共感してくれる人たちに向け、奥本さんは、瀬戸田とレモンの魅力を発信していきます。