H29年 世羅町大豊農園 (2017年5月20日)
沖中ゼミ
担当ゼミ責任者 冲中 泰
地(知)の拠点担当教員 大泉賢吾・細野賢治・山尾政博
世羅町大豊農園の概要
沖中ゼミの学生11名は世羅町にある農事組合法人世羅大豊農園を訪れ、梨の一次摘果作業を体験いたしました。大豊農園の総面積は80ヘクタール、栽培面積は40ヘクタール強です。経営するのは農事組合法人、9名の組合員が参加して1973年に設立されました。山林を切り開いた梨園では、機械化が進むとともに、多数の従業員が雇用されています。幸水梨が半分以上の面積を占めていますが、豊水梨、新水梨も栽培されています。ぶどう栽培もあり、ピオーネ、安芸クイーン、ハニービナスなどが作付されています。
大豊農園には、「山の駅」と呼ばれる販売所がある他、消費者に直接に果物を届ける取組を重視しています。地域に根ざした観光農園としても有名で、4月には梨の花まつり、夏から秋にかけては梨狩り、ぶどう狩りで大勢の観光客が訪れます。
体験学習の流れ
午前中は、まず、祢冝谷組合長から世羅大豊農園の経営状況やこれまでの歴史、JGAP取得について講義をしていただきました。厳しい自然条件下にあって、大豊農園が取り組んできた美味しい梨つくりのための様々な工夫は興味深いものでした。バーク、チップなどを利用した堆肥を投入して、土づくりに力をいれています。また、広い農園の利点を生かすために、ゆとりある圃場を目標にしながら、完全無袋栽培化、農作業の機械化を実現しています。施設面では、霜被害を防ぐための防霜ファンの設置、アケビコノハを防ぐため防蛾灯を設置しています。
GAP(Good Agriculture Practice, 農業生産工程管理;日本ではJGAPが一般的)の認証を2015年9月に取得しました。GAPは食の安全、トレーサビリティ、労働の安全、資材管理の徹底、環境保全、などが実現されていることを確認し、消費者に安全・安心な生産物を届けていくための認証です。経営者はもとより、従業員の間にも生産工程管理の趣旨が徹底されています。
禰宜谷組合長から広大生に期待することについてお話しがあり、その後、学生から幾つか質問がだされ、活発に討論が行われました。
摘果作業の体験
梨の摘果の時期、大豊農園では100名弱の従業員が働いているとのこと。学生たちも、果樹園の一角に入って作業をいたしました。まず、祢宜谷組合長から摘果の仕方をご説明いただきました。すでに梨棚の中の梨の木は、花から幼果になっていますが、たくさんの幼果をそれぞれの各着果位置で3果程度に摘果するのが作業でした。果たして切っていいものかどうか不安な気持ちで、作業を開始しました。
摘果作業は単調ですが、学生たちは黙々と作業を続けました。昼食後も摘果作業です。午後になるとだいぶ慣れたようで、作業速度も速くなっていました。ただ、うっかりすると作業しないままに通りすぎてしまう枝がでてきます。先に行っては戻り、ということを繰り返すこことがありました。
梨の摘果作業はもっとも大切な工程ですが、単調でいかに大変かを学生たちは体験しました。
午後3時に作業を終えて、学生の代表が感謝の気持ちを祢宜谷組合長にお伝えしました。長い時間と思っていましたが、あっという間の体験でした。農作業の大変さがよくわかった1日でした。