体験授業と地域講義
担当ゼミ責任者 船戸耕一
地(知)の拠点担当教員 大泉賢吾・天野通子・細野賢治・山尾政博
道の駅ゆめランド布野は、市や地域団体が出資する株式会社布野特産センターが運営している施設で、三次市を南北に渡る国道54号を松江方面に向かった歴史街道と呼ばれる国道54号沿いに位置しています。
農をコンセプトに地域農業の活性化を経営理念とし、地域と連携した経営を目指しており、今回の授業では近隣の農家大前農園、江の川漁協にもご支援をいただき盛りだくさんの充実した楽しい体験学習になりました。
まず最初に道の駅廣田代表の講義につづいて、近隣の大前農園でのフィールド講義、アスパラ収穫、また江の川漁協辻駒組合長の講義、組合のご指導を受けて道の駅ゆめランド布野の隣接親水公園となっている河川での河川清掃、アユの塩焼きと試食、道の駅の地元布野産にこだわった弁当で地元の方々と交流、そして布野特産アイスづくりを行い終了しました。
なお、この体験学習にはいろいろ地元調整をしていただいた三次市政策部企画調整課の課長や職員、三次市布野支所の次長や職員もご参加いただき行政的にも注目されているフィールド授業になったとともに、市役所の情報提供で地元ケーブルテレビの取材を受けるなど地の拠点に対する地域での認知度が高まりました。
三次市布野支所次長の歓迎あいさつ
三次市布野支所の瀧野次長から、学生への歓迎のあいさつをいただきました。三次市では、広島大学との連携を大事にしており、今日はゆめランド布野だけでなく、大前農園、江の川漁協にも協力してもらって、体験授業を計画したので、しっかりと勉強して行って欲しいし、またこれを機会に、三次市、布野町、道の駅ゆめランド布野に時々来て欲しいとのお話をいただきました。
学生は、三次市の布野支所次長や企画調整課長など行政の幹部の方の出迎え・出席に驚いていましたが、心が引き締まったようです。
廣田代表取締役の講義
廣田取締役からは、道の駅ゆめランド布野は、地域の活性化、地場産業の活性化、地域情報の発信基地、都市との交流や人口増加のための拠点として位置づけられ、全職員と共に地域の皆さんが、がんばっていてくれることを説明されました。
例えば、人気のバイキングでは、食材は布野ふれあい市場で販売している、三次市布野町・作木町で生産された、採れたての農産物を使って野菜中心のヘルシーでベジタブルなお惣菜バイキングになっており、昔なつかしのお惣菜メニューや、郷土料理を揃えて好評を得ているとのことでした。
また、まるごと布野のアイス屋さんでは「布野だからできるアイス」の味を提供したいとこだわって製造しており、学生の皆さんのアイデアを入れたアイス作りがしたいと思っていると話されました。
一方、高速道路の尾道松江線開通で国道54号線を通る人が少なくなり、必然的に道の駅ゆめランド布野の来客者が減少しているという大きな課題があることが説明され、学生の皆さんがここの良さを感じて、広く知らせて欲しいと話されました。
大前農園でのフィールド講義とアスパラ収穫
三次の特産品であるアスパラガスを栽培されている大前さんの講義を聴いた後、アスパラハウスで収穫を行いました。
アスパラの生長は早いので、適切なサイズの時に確実に収穫することが大事であるが、味や品質の基本となる土作りのため、自分で工夫して堆肥を製造されているとのことです。
学生は、アスパラのサイズをものさしで見極めながら慎重に収穫しました。大前さんからは、生で食べても大丈夫とのお話をいただいたので、初めて生のアスパラをその場でかじりましたが、その甘さとおいしさに驚いていました。
学生は、あらためてアスパラのおいしさを感じながら、地道な土作りの重要性を学んだようです。
辻駒組合長の講義と河川親水公園での河川清掃
江の川漁協の辻駒組合長から、江の川における鮎漁の状況や、鮎の生態と河川環境、とりわけ鮎が食べるコケについて詳しく説明いただきました。
その後、ゆめランド布野の親水河川区域に入って河川清掃を行いました。具体的には、この時期河川の中の岩や石に泥などがついて、コケが生えにくくなり鮎のえさが減少することを防ぐため、ブラシで河川の岩や石を掃除して泥を取り除くという地道な作業です。当日は、台風の後で河川の水量が膝当たりまでやや増水していたため、念のためライフジャケットをつけて作業を始めました。
学生は、子供の頃から川に入って遊んだことがないようで、組合長から川で滑って転ばないように指導を受けた後、懸命に作業を行いました。しかし、なれないこともあり川の中で滑って転ぶ学生がいましたが、水の美しさと涼しさに喜んでいるようでした。
また、作業中に鮎が泳いでいる姿を間近で見て、その生態を理解するのに役だったようでした。
今度は、先ほど生態を観察した鮎を、串焼きにするためそのやり方を教えていただきましたが、なかなかうまくいかないようでした。
漁協のご厚意で提供いただいたたくさんの鮎を、なんとか串刺しして塩をふってく「鮎の塩焼き」の完成です。塩焼きを食べることを考えながらでしたので、みんなとても嬉しそうに作業をしていました。
布野産にこだわった弁当で地元の方々と交流
河川作業や串焼きに作業に夢中になってしまい、お昼が少し遅くなってしまいましたが、地元の食材を使った弁当と先ほどの「鮎の塩焼き」をいただいて、2倍のおいしさでした。1人で鮎の塩焼きを10本近く食べて学生がいて、組合長も驚きとともに若さと食欲に関心されていたようです。
布野特産アイスづくり
道の駅ゆめランドで毎日手作りアイスを作っていらっしゃる担当の方の指導を受けて、地元の牛乳などの食材でアイス作りを行いました。
学生は3グループに分かれて、アイスのできあがりのスピードと味で勝負していました。
自分たちで作った自然そのものアイスのおいしさに感動しながらも、他のグループのアイスの出来を評価ししつつ、できたての食べ比べを楽しんだようです。
道の駅にある「まるごと布野のアイス屋さん」では、生乳は、布野の大地で育った牛から搾ったものを、素材の野菜や果物も、布野町・作木町で生産された新鮮な素材を使用し、いろいろな味のアイスが販売されていますが、学生にも何かアイス作りのアイデアが浮かんだようです。
最後に、学生から皆さんにお礼を申し上げ、記念撮影を行いました。 中国地域の中山間地域である三次市や布野の良さと活性化の必要性を学生が直接感じ取り、三次市をもっと知って何か力になりたいという気持ちが芽生えたことが、地元の方にも伝わったようです。
行政や地域の方々のお陰で、とても有意義な体験授業になりました。
船戸ゼミ体験授業の発表
平成27年7月22日(水)に実施した地(知)の拠点教養ゼミ体験授業発表会兼第2回円卓フォーラム第1部における船戸ゼミ(1年生 10名)の発表概要は、以下の通りでした。
- 私たちは、三次市道の駅ゆめランド布野に体験学習に行ってきました。
- 三次市布野町は、島根県との県境、中国山地内陸中央部に位置し、人口1,581人です。
- 道の駅「ゆめランド布野」は国道54号線沿いにありますが、尾道松江線の開通により54号線の交通量が半減したため、来客数が減少しています。特徴は、地元の取れたて農産物を使った「惣菜バイキング」、布野産の生乳、食材を使った「まるごと布野のアイス屋さん」、新鮮な野菜が生産者から直接届く「布野ふれあい市場」。ほかに、各種イベント体験教室を開催していす。
- 道の駅の一般的な3つの機能、また、ゆめランド布野の経営理念・取り組みについて、廣田幸男代表取締役からお話をうかがいました。経営理念は「農」。農業の力で人口減少を食い止めようと、個人農家と大型農家、農業法人との連携に力を入れています。また、消費者の求めに農業者が応えていく苦労を消費者に伝えたいと、仲介体験コーナーを設けています。
- アスパラ収穫体験。大前農園にうかがい、決められた長さにアスパラを収穫したあと、経営者の大前さんから、経営方針についてお話をうかがいました。新鮮なアスパラを生で試食させてもらいまいたが、市販のよりずっとみずみずしくて、味が濃かったです。
- 江の川河川清掃。アユのエサである藻が岩に付着するように、デッキブラシで、岩の砂落としをしました。そのあとアユの塩焼きを体験させていただき、地元産バイキング弁当をを頂戴しながら、地元の方々と布野の活性化について意見交換しました。
- 私たちは今回事前学習で、道の駅ゆめランド布野について、調べ、議論した結果、すぐれている点は、自然と触れ合えること、アイスクリームの種類が豊富なこと、改善すべき点は、フェイスブックなどの情報発信が少ないこと、バイキングでの時間が少ないことだと思います。
- ゆめランド布野さんから、3つの要望をいただきましたが、(下段スライド参照)、それらへの提案は、船戸ゼミが中心となり、ゆめランド布野さんと共同で、広大で研究している酵母を入れ、お酒風味のオリジナルアイスをつくることです。このアイスを広大の行事などで販売、情報発信してゆき、アイスクリームを目的に道の駅に来てくれる人も増え、ゆめランド布野の目玉商品になることもありえないことではないと思います。
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