太田ゼミ 大崎上島町 食文化海藻塾

体験授業と地域講義

担当ゼミ責任者 太田伸二
地(知)の拠点担当教員 大泉賢吾・天野通子・細野賢治・山尾政博

瀬戸内海島しょ部:大崎上島町での体験授業

多島海といわれる瀬戸内海には大小の島があり、温暖な気候のもと、果樹を始めとする農業、豊富な水産資源を漁獲対象とする漁業、それに観光が盛んです。瀬戸内海では、架橋によって島々が結ばれ、島しょ部の「半島化」が進んでいます。体験授業を実施した大崎上島は、瀬戸内海のほぼ中央にある完全離島です。

大崎上島町では人口減少が続き、高齢化率が広島県で最も高い市町のひとつです。町では、農林水産業の振興による地域活性化をはかるとともに、修学旅行生などを受けいれる民泊事業を進めています。住民の皆さんの間には、身近にある地域資源に着目して、島のよさを再発見しようとする機運が盛り上がっています。

体験授業を受け入れていただいた、大崎上島町食文化海藻塾は、地域資源として評価させる機会の少なかった数多くの海藻に着目し、その利用をはかろうとしている人々の集まりです。

海に周囲を囲まれた島ならではの自然環境の下、海藻資源を通じて、食文化を考えようという活動に参加させていただくことを中心に、太田ゼミの学生は体験授業を行いました。

海藻塾スケジュール

海藻塾の活動概要と商品開発

海藻塾の説明をする道林会長

海藻塾の説明をする道林会長

高田幸典町長からご挨拶をいただき、体験授業が始まりました。海藻塾の道林会長は、海藻は食べ物の中でも地味な存在で、島の人たちもこれを利用する機会がめっきり少なくなっていたことを報告されました。瀬戸内海には300種ほどの海藻がありますが、大崎上島には170種があるそうです。食材としての利用は限られ、商品化もほとんどなされていません。海藻塾では、磯の観察会を開きながら、商品化の可能性を探っています。沖浦漁協の中村修二理事からは、あかもくの加工とレシピ開発のお話しをお伺いしました。商品化できそうな有用な海藻は、漁協の陸上施設で実験をしているそうです。

大串海岸の清掃とシーカヤック体験

大串海岸での海岸清掃

大串海岸での海岸清掃

大串海岸は長い砂浜をもち、多島美を堪能しながら海水浴ができる場所として有名です。ただ、この海岸には地理的な特性からか周辺からゴミが漂着します。清掃をしてもすぐに汚れが目立ってしまいます。太田ゼミの学生たちは、グループに分かれて海岸の両端からゴミを集めて歩きます。わずかの間にたくさんのゴミを拾いました。

シーカヤックは人気のある体験メニューのひとつです。学生たちは2人で一艇のシーカヤックを、最初は方向性なく操り、やがて慣れてくるとスピードをあげて競争です。島ではこのように海に親しむ活動を体験メニューのなかにたくさん取り入れています。

シーカヤックを楽しむ学生たち

シーカヤックを楽しむ学生たち

楽しい昼食は海藻料理とともに

海藻塾に集まる女性グループの皆さんが、さまざまな工夫を凝らした料理を振る舞ってくださいました。持参した弁当とともに食べた味噌汁はとてもおいしく、トコロテン、ドーナツなどのお菓子も充実でした。食事後は、意見交換と交流、学生たちから様々な質問がだされました。島の人たちにとって海藻はどのように利用されてきたか、それが近年はごく一部の人しか利用しなくなってしまったこと等に関して、質疑が行われました。

楽しい昼食は海藻料理とともに

海辺の観察から

海藻の説明を聞く太田ゼミの学生たち

海藻の説明を聞く太田ゼミの学生たち

バケツをもって海辺の観察、学生たちは実にさまざまな種類の生き物、海藻があることを知りました。食べられるかどうかで海藻をみる、というのは生活の知恵だということを学んだようです。その場で味見をしてみた学生も何人かいました。

バケツにさまざまな種類の海藻をいれた学生、海辺の観察はとても楽しかったようです。

地域資源利用の意味を考える

海藻を食文化の視点で捉え、食材として活用できる可能性を模索している海藻塾での体験は、学生にとって意義深いものだったようです。特に、身近にある未利用の資源を有効に使う、商品化するなどして生計向上につなげる、目的意識をもった活動が印象に残ったようです。改めて、地域資源とはなにか、有効に利用するとはどういうことか、考えるきっかけとなりました。

今あるものをいかすという海藻塾の皆さんの姿勢は、学生にもきっとできることがある、とい思いにつながったようです。

太田ゼミ体験授業の発表

太田ゼミ体験授業の発表

平成27年7月22日(水)に実施した地(知)の拠点教養ゼミ体験授業発表会兼第2回円卓フォーラム第1部における太田ゼミ(1年生 10名)の発表概要は、以下の通りでした。

  • 大崎上島町大串海岸に行ってきました。大崎上島は瀬戸内海の中央に位置し、広島県で3番目の面積の島、本土と橋でつながっていないのでフェリーで行きます。
  • 体験を受け入れてくださった海藻塾では、海藻の採集・試食を通し、瀬戸内の自然・食文化を学ぶことができます。海藻塾は、地域資源として活用されていなかった地元の海藻を漁業の振興・地域の発展に役立てようと様々な活動しています。
  • 海岸清掃を体験。大串海岸で、ビニール・ペットボトルなど浜全体に打ち上げられているごみを回収しました。大串海岸は本州からの漂流物ゴミが多く、定期的にボランティアで清掃を行っているそうです。そのあと、シーカヤックに試乗、海上からの景色にいやされながら、楽しい時間を過ごしました。
    海藻食品の試食。お昼には、地元の方々に、郷土料理・海藻を使った料理をふるまっていただきました。海藻を使ったいぎす豆腐など、どれもおいしくて、何回もおかわりしていただきました。
  • 海藻塾に伺って海藻について興味を持ったので、海藻について調べました。東日本と西日本で分布が異なり、西日本では紅藻類が中心です。海藻は、効率よく食物繊維・ミネラルが摂取できる上、ノンカロリーでダイエットにも向いた優れた食品。特に、大崎上島が商品化した「アカモク」は、味や香りにクセがなく、多くの栄養素を含む上、海中の窒素・リン等を分解、赤潮の原因を除去してくれます。グルタミン酸、アスパラギン酸など、多くのうまみ成分を含む海藻は、日本では弥生時代から食べられています。
  • 海藻塾の問題点を考える:知名度がまだ高くないこと、外から調べると情報が少ないこと、交通手段の確保。それらを改善するために、体験の機会を多く作り、年齢にかかわらず、多くの人に参加してもらうこと、また、ホームページやSNSを通して、大崎上島および海藻塾の魅力を多くの人たちに発信していくことを提案させていただきます。
  • はなやかさを加えるため、ゆるキャラを考えてきました。A、Bどちらか良いと思う方に拍手願います。(パチパチパチ……Aがやや多い…) Aを提案させていただきます。
  • 最後に、海藻・環境について学習の場を設けていただき、さまざまな貴重な体験をさせてくださった、道林塾長をはじめ、大崎上島の方々に心からの御礼を申し上げます。ありがとうございました。