吉田ゼミ 大崎上島町 金原農園

体験授業と地域講義

担当ゼミ責任者 吉田将之
地(知)の拠点担当教員 大泉賢吾・天野通子・細野賢治・山尾政博

1. 金原農園(大崎上島町)の体験授業概要

大崎上島町は、瀬戸内海に浮かぶ芸予諸島にあり、切り立った斜面が多く柑橘類の栽培に適した地域で、養殖漁業も盛んに行われています。

かんきつ栽培は、大崎上島町の基幹産業であるが、高齢化と後継者不足により産業としての衰退が著しくなっているようです。このため、島内の関係者が集まり、農業で食べていけるだけの安定した所得が得られ、栽培の労力も軽減することが必要との結論になり、若者収納の受け皿としてハウスを中心とした「シトラスかみじま」を設立したそうです。

金原農園の金原さんは、農事組合法人シトラスかみじまの組合長で有り、高級かんきつ「せとか」をこのハウスで栽培されている。シトラスかみじまは、大崎上島町の柑橘類の生産中核拠点であり、ハウス面積が1.49ヘクタール、ハウス周辺には2.37ヘクタールの露地栽培(主幹仕立てのいしじ・デコポン)が行われています。

このハウスの中では、約98アールの「せとか」、39アールの「レモン」、12アールの「なつみ」が栽培されています。

金原農園では、シトラスかみじまに植栽されている「レモン」栽培の現状を知り、さらに「ハウスせとか」の摘果作業をさせていただくと共に、長年かんきつ栽培の指導と栽培の実践を行われている金原さんの多彩な講義を受けました。

2.金原さんの多彩な講義(大崎上島町の歴史からかんきつの 栽培・流通まで)

金原さんの講義の様子

金原さんの講義の様子

安芸津港から大崎上島町の大西港までのフェリーの船旅を少し楽しみ、まず地域の公民館で金原さんの講義を受けました。

講義は、大崎上島町の課題・歴史、かんきつ栽培の現状や新技術への取り組み、流通の実態や直売の対応など、多岐にわたるものでした。

特に、大崎上島町のかんきつ振興に率先して取り組まれている姿が、言葉の中からもうかがえるものでした。また、かつてJA広果連のかんきつ栽培の指導者として特筆される成果を上げられましたが、台風等幾多の試練を率先して克服し、大長を含む島のかんきつ産地の形成・発展に尽力されたことが伝わってくるものでした。

また、栽培技術についても当然豊富な知識をお持ちで、これをわかりやすく学生に説明していただきました。

講義の途中では、島のかんきつを搾ったジューズをいただき、学生はこの味に感動したようです。さらに、この時期には全くないはずの「みかんの大トロ」などと称されている「せとか」を持ってきていただき、全員で試食させていただきました。学生の思いが高まり、せとかの収穫時期には、是非手伝いに来たいという話まで出ました。

この時期(6月)に「せとか」(金原さんの説明)

この時期(6月)に「せとか」(金原さんの説明)

とても貴重な「せとか」を試食、ジュースも頂戴しました

とても貴重な「せとか」を試食、ジュースも頂戴しました

3.シトラスかみじまでレモンの栽培調査

レモン栽培のハウスで説明

レモン栽培のハウスで説明

シトラスかみじまに到着後、まずレモン栽培のハウスで金原さんの説明・講義をうけました。広島県は、レモンの栽培が最も多く、このレモンの主産地の一つが大崎上島になっています。気候的に、国内でレモンが栽培できるところは瀬戸内海沿岸や島しょ部の一部だけです。レモンの価格は比較的高値で推移しており、かんきつ経営の大きな柱になってきたそうです。特にハウス栽培では、一定の大きさになったら青いうちに出荷して、高値で取引してもらう戦略が重要だそうです。

4.ハウスせとかの摘果

4.ハウスせとかの摘果

まず、金原さんからせとかの摘果方法の説明と実際の手ほどきが行われました。JA広島果実連の榎屋技師も来ていただいており、ハウスではお二人に指導していただきながら、せとかの摘果を行いました。

せとかは、アンコール・清美という品種とマーコットという品種の交配から生まれた、果汁、甘さ、たべやすさを備えた高級かんきつで、1個何百円もする果実です。

この摘果で、販売されるときのせとかの価値がきまるという緊張感も有り、真剣に摘果に取り組み、金原さんや榎屋さんにも、遠慮無く質問して指導を仰いでいた学生の姿が印象的です。

一生懸命皆で協力して摘果したことで、金原さんが予定していた面積を超えて作業ができたようです。少しは、金原さんに貢献できたかなと満足感と達成感を持って体験を終了することができたようです。

5.お礼のあいさつと記念写真

最後は、金原さんと榎屋さんにお礼を言って、シトラスかみじまのハウス団地を一望できる場所で、記念写真を撮影しました。

せとかの収穫のお手伝いに来ることなどを話し合いながら、体験授業を終了しました。

美しい大崎上島への関心が高まり、その課題に対して主体的に取り組んでくれる学生が育って金原さんやお世話になった役場に恩返しができることを期待しています。

吉田ゼミ体験授業の発表

吉田ゼミ体験授業の発表

平成27年7月22日(水)に実施した地(知)の拠点教養ゼミ体験授業発表会兼第2回円卓フォーラム第1部における吉田ゼミ(1年生 10名)の発表概要は、以下の通りでした。

  • 広島県南東部に位置する40km2ほどの島、大崎上島町にある金原農園にうかがってきました。大崎上島町では、昭和60年くらいから人口が続けて減少、少子高齢化も進んでいます。また、これに合わせて、農業就業者人口も減少しています。
  • せとかとレモン:「せとか」は、清見とマーコットの掛け合わせた高級柑橘です。薄皮で、みかんよりやや大きめ、250gほど。味がとてもよく、1個\800の最高級品もあります。
  • 「レモン」国内産レモンの栽培適地が瀬戸内の一部に限られているため、広島県が国産レモンの80%を栽培しています。ただし、レモン需要がピークの8月には国産レモンが収穫できないため、10倍量を輸入しています。金原農園では主にこのせとかとレモンを栽培しています。
  • 大崎上島では、柑橘栽培の衰退を危惧した人たちが、農業組合法人「シトラスかみじま」を立ち上げました。目的は、IターンUターンを含めた後継者のための受け皿づくり。農業で食べていける所得が安定的に得られることと栽培労力の軽減化を目指し、ハウスの設置、農場整備等を行ってきました。農場整備には国・県からの補助金がおりましたが、ハウス設置は対象外なので、大崎上島町の予算を回してもらうなど、苦労を乗り越えてきました。
  • ハウスでの栽培は完璧な管理・環境下で大量の収穫が可能ですが、作業が集中する収穫時の労働力不足が課題です。また、傾斜地での作業の省力化・軽量化を目標に、階段状園地で主幹形仕立ての温州ミカン栽培を試験的に行っています。主幹形とは、直径1.2mほどの円柱上の樹形です。
  • 最後に「これからの農業は、土地の広さではなく、道の駅での委託販売など、消費者の需要に合わせた、広い世代に受け入れられる売り方の工夫が重要」と金原さん。
  • 人手募集!金原農園で2月~3月の間、3食寝床付き時給¥800で、せとか収穫作業の手伝い者を募集しています。希望者はせとか付きです。