浅川ゼミ 呉市 豊町大長

体験授業と地域講義

担当ゼミ責任者 浅川 学
地(知)の拠点担当教員 大泉賢吾・天野通子・細野賢治・山尾政博

瀬戸内海に浮かぶみかん島:呉市豊町大長での体験授業

 本州と安芸灘諸島をむすぶ安芸灘とびしま街道を通って、豊町大長は大崎下島の東側にあります。地域には段々畑が広がり、古くから柑橘農業が盛んにおこなわれてきました。地域で生産される「大長みかん」は、全国でも有名です。体験授業を受容れてくださった大亀さんと末岡さんは、様々な種類のみかんやレモンを生産し、観光農園や直販なども取組んでいます。また、地域の産業振興のために、伝統のやぐら祭りの活性化や地域の観光資源をいかしたイベント開催など多彩な活動も積極的におこなっています。

大長スケジュール

みかん栽培の講義と摘果作業

大亀さんと末岡さんは、日々試行錯誤を繰り返しながら栽培をおこなっています。講義では、樹木の育成やたかつぎ、みかん栽培に適した土作りなど専門的な内容の話をしてくださいました。おいしい柑橘の栽培には、植物や土壌、害虫や病気などに関する様々な知識や技術が必要であることが理解できました。

その後、学生は傾斜地のみかん畑に移動し摘果作業をおこないました。樹園地は海を眺める場所にあり、みかんの木々と海と空のコントラストがとても美しいところでした。今回の作業は、比較的傾斜の少ない場所を選んでいただいたため、作業はしやすかったと思いますが、傾斜地での細かな作業は大変なものだろうと推測されます。

みかんの木には、青くて小さな果実がたくさん実っていました。これから、おいしいみかんに育てていくには、枝ごとに比較的大きくてきれいな実を残して、残りを取り除く必要があります。どの果実を残していけばいいのか、大亀さんと末岡さんから教えていただきながら、学生は摘果作業をおこないました。実っている果実を取り除くのは、もったいないような気もして最初は躊躇する学生もいましたが、作業の目的を理解し一生懸命におこないました。

講義のようす

講義のようす

摘果するみかんの実を教えてもらう

摘果するみかんの実を教えてもらう

歴史の見える丘公園でひとやすみ

午前の作業の後は、近くにある歴史の見える丘公園で昼食をとりました。展望台にのぼり、安芸灘諸島の多島美を眺めながらの食事は格別です。ちょうど天気もよく、少し暑いくらいでしたが、展望台からの景色はとても美しいものでした。学生は友達同士で写真をとりあっていました。

大亀さんが、奥様手作りの清美ジャムを学生全員にプレゼントしてくださいました。帰宅後の楽しみが増えたようです。

歴史の見える丘公園からのながめ

歴史の見える丘公園からのながめ

たかつぎした木の説明

たかつぎした木の説明

午後の作業も、摘果作業 

昼食をおえたら、午後の作業の再開です。午後からは、場所を変えて大亀果樹園に移動しました。観光農園をおこなっている樹園地です。ここでは、まず午前の授業のときに説明をしていただいた、たかつぎをした木を見せていただきました。そのあと、摘果作業をおこないました。小さいみかんの実は、取っても取っても少なくならず、地道な作業で、学生も次第に疲れていきました。しかし、学生は摘果がきちんとおこなわれているかどうかで今年度のみかんの収量や品質が決まると知り、午後も頑張って作業をおこないました。

大長みかんの歴史を学ぶ

摘果作業のあと、豊町の柑橘農業の歴史を学べる「みかんメッセージ館」に移動し、「大長みかん」発展の過程を教えていただきました。1903年に島民が「青江早生」を導入し、その後100年以上にわたって代々みかんを生産し、地域の重要な産業として栄えてきました。現在は後継者不足や樹園地の耕作放棄化なども進んでいますが、大亀さんや末岡さんなど地元の生産者や地域の方々がみかん産地の維持に尽力しています。

最後に、学生から体験学習で学んだことを述べ、感謝の気持ちを表しました。収穫の時期に、もう一度訪れたいという声もありました。

追記: 大亀様、末岡様、大亀様の奥様には、大変お世話になりました。

浅川ゼミ体験授業の発表

浅川ゼミ体験授業の発表

平成27年7月1日(水)に実施した地(知)の拠点教養ゼミ体験授業発表会における浅川ゼミ(1年生 11名)の発表概要は、以下の通りでした。

  • 呉市豊町で体験授業を行いました。豊町大長では、瀬戸内の温暖な気候を生かし、水はけのよい段々畑でみかん・レモンを栽培しています。
  • 肥料の三要素をご存知ですか?<窒素、リン酸、カリウム>です。大長では、煮干しの魚粉肥料を使用してきました。魚粉は、窒素とリン酸のバランスがよい有機肥料で、効果が早く出やすく、みかんを味良く、甘くしてくれます。だから、大長みかんはおいしいのです!
  • 摘果作業。みかんは自然に自身でも摘果しますが、人間が人工的に手を加え摘果することで、よりおいしいみかんができます。手作業のほか摘果剤(ナフサク、フィガロン)を使用することもあります。(ただし散布量には注意が必要です。)一次摘果で2、3個を残した後、二次摘果では、葉っぱ15枚につき、大ぶりの実1個だけを残します。午前と午後2回、摘果作業を体験。農家の方々と一緒に作業している間、みかんの栽培についていろいろお話をうかがうことができ、とても楽しかったです。
  • みかん館を訪問。大長みかんの歴史について学びました。もともと桃が栽培されていましたが、1903年、大分から青江みかん(早生温州)を導入、高い品質が評価され、一時は天皇への献上品にもなりました。農家は蔵を持ち、収穫から出荷までの間、貯蔵・熟成するので、みかんの甘みが増し加わり、色もきれいなオレンジになります。また、他島に畑を持つ農家もおり、運搬には農船が使われ、港が農船で溢れかえった時代もありました。
  • 大亀農園では、手作り清見ジャムをいただきました。とてもおいしかったです。このような加工品は、変形、キズものの果樹も無駄にしない知恵でもあります。
  • 大長では、レモンの栽培も日本一ですが、課題は若者の後継者不足です。「その解決のために、まず若者に農業に興味をもってもらうこと。それには、学校全体などで、若者に農業体験の機会を提供し、農業を知ってもらうことが良いと思います。私たちも、この体験授業を通じ、大長の農業について知ることができました。」
  • また、大長では、毎年9月末の土日、毎年「大長櫓まつり」を行っています。広大からもバスが出るそうですので、参加してゆきましょう。