冨永ゼミ 東広島市 ファーム・おだ

体験授業と地域講義

担当ゼミ責任者 冨永るみ
地(知)の拠点担当教員 大泉賢吾・天野通子・細野賢治・山尾政博

中山間地域の集落営農のモデル地区

  東広島市河内町小田地域、農事組合法人ファーム・おだは、広島県はもとより全国的にも有名な集落営農のモデルです。広島県は地域農業・農村社会の条件不利 地化が進んでいましたが、小田地域では平成の大合併を機に小学校・保育園・診療所の統廃合が重なり、地域社会の存続の危機に直面しました。2003年に 「自治組織 共和の郷・おだ」を設立し、地域課題を自ら解決しながら、行政などに支援を提案する活動を始めました。農業では、集落営農を法人化し、 2005年には「農事組合法人ファーム・おだ」を設立しました。設立時の参加者は128名、参加率は87%でした。

現在のファーム・おだは実に多彩な活動を行っています。農作業の協業化と機械の共同利用に始まり、組合員農地の管理、野菜栽培、農産加工品や米粉パンの製造・販売、直売所の運営などをおこなっています。

厳しい生産環境、生活条件下にあっても、知恵をだしあい、工夫をしながら暮らしているファーム・おだの吉弘昌昭組合長理事他、皆さんの指導のもと、冨永ゼミの学生たちは体験授業を行いました。

ファームおだスケジュール

稲の成長と田植え作業内容

苗を手に稲の成長を説明す吉弘組合長

苗を手に稲の成長を説明す吉弘組合長

 小田地区多目的施設にて、吉弘組合長から稲の成長についてご説明いただきました。これから学生たちが体験する田植え作業は、1100平方メートル(11アー ル)というやや大きな田圃で行うとのことでした。体験田植えの面積としては広いものです。品種はヒノヒカリ、深植はしないで2-3㎝程度でよいとのこと。 田植え綱を用いるので、赤い目印のところに植えるようにとの指示がありました。

ファーム・おだの組合員さんと一緒に

一列に並んで田植え作業

一列に並んで田植え作業

 冨永ゼミの学生たちのために準備してくれた田には、吉弘組合長の他、8人の組合員さんが合流してくださいました。田植え綱を張り号令にしたがって学生・教 員、それに組合員さんが横一列に並び、一斉に苗を植えていきます。苗を均一に植えるといいますが、作業の進み具合が違い、植えた苗にもデコボコが目立ちま す。それでもしだいに慣れて、終了間際の作業は多少はやくなりました。

 機械植えなら20分で済むという11アールの田を、1時間半かけて手植えしました。学生たちは達成感を味わったようです。

寄りん采屋にて地域食材料理を楽しむ

 昼食は道の駅寄りん采屋というファーム・おだが運営するレストランでした。ご飯は小田米、やさいたっぷりの天ぷら、煮物、キュウリの酢の物、漬物、それに ざるそば、おいしくいただきました。食べながら、レストレンの従業員さんが食材の話しや、小田のユニークな煮物について説明してくださいました。

地域の方が用意してくださった料理

地域の方が用意してくださった料理

みんなでおいしくいただきました

みんなでおいしくいただきました

 

「ファーム・おだ 集落営農の取組」

 午後、吉弘組合長より、ファーム・おだの取組について説明を受けました。設立前には5年後の営農の見通しが立たないという状況だったのですが、集落営農活動が軌道に乗った今、組合員さんは安心して農業活動に参加しています。個別農家で農業機械を購入していた時、小田地区では7億3千万円もの投資が必要でし た。今は、ファーム・おだがまとめて投資するために、農家が負担するコストは大幅に低下しているそうです。防除のための無人ヘリも利用できます。

 活動の成果として、小田地区には若い人たちが帰ってきています。地元での就業に結びついているわけではありませんが、活気が戻りつつあります。

 学生たちは、予め学習してきた内容と説明にもとづき、吉弘組合長に積極に質問をしていました。

新しいビジネスを開発する

リーフ・レタス栽培の見学

リーフ・レタス栽培の見学

 ファーム・おだは市場価値の高いリーフ・レタスの生産を試みています。学生たちは新しいタイプのハウスを見学し、ユニークな方法で栽培しているレタスを試食しました。また、米粉で作るパンを売るパン&マイムでは、試食を楽しみながら米粉パンを買っていました。新しいビジネスに挑むファーム・おだでの体験実習は、学生たちに深い印象を与えたようです。

最後に学生の代表が吉弘組合長に感謝の意を表し、皆で記念写真を撮影しました。

冨永ゼミ体験授業の発表

冨永ゼミ体験授業の発表

平成27年7月22日(水)に実施した地(知)の拠点教養ゼミ体験授業発表会兼第2回円卓フォーラム第1部における冨永ゼミ(1年生 10名)の発表概要は、以下の通りでした。

  • 私たちは東広島市河内町北東部にある小田地区を訪問しました。
  • 小田川を中心に棚状耕地が作られ、13の集落がある小田地域は、市町村合併、小規模零細農業、農業従事者の減少、過疎高齢化などにより、集落存続の危機にありました。
  • そのような中、2005年11月、農業組合法人「ファーム・おだ」が設立され、組合による農地の管理・経営がスタートしました。農業機械を組織全体で共有することでのコスト減、土地を預けることでまとまった収入が入るなど、高齢者中心の組合員にとってメリットが多く、法人の経営は、ほとんどの組合員から、高い支持を得ています。
  • 主要な農作物はお米で、「ヒノヒカリ種」を主に栽培してきましたが、近年、栽培限界高度が100m以上変化したため、広島県では、変化した気候に合わせた新品種(「こいのよかん」など)の栽培を始めています。私たちは、ここで、手植えの田植え体験をさせていただきました。
  • ファーム・おだは、「パン&マイム」を経営、米粉パンの製作・販売を行っています。米の消費量を増やし、国内食料自給率を上げることなどが目的で、小麦アレルギーの人も食べられるパンです。30種類以上、毎日約600個を売り上げています。
  • 地域の食と農を見直す拠点づくりをめざし、「寄りん菜屋」の名前で、直売所、加工所、食堂を運営しています。新鮮で一般より安価、おふくろの味に出会えるほか、農業体験も提供しています。
  • 今後の課題。1)広報。田植え祭り、収穫祭などのイベントPRを、これまでの新聞、情報誌、HPなどに加え、若い人が多く集まる、駅や学校などにポスターを掲示することを提言します。2)農家の若い世代の雇用。若い人たちに、ファーム・おだ主催のいろいろなイベントに参加してもらい、農業の楽しさや大切さを知ってもらえたらよいと思います。
  • 田植え<手植え>の感想。する前はどうなることかと思いましたが、やり終えた後は充実感がすばらしく、本当に楽しかったです!みなさんもぜひ体験してみてください。
  • 10/18(日)ファーム・おだ収穫祭があります。時間がある人は、ぜひ参加してみてください。