吉村ゼミ 安芸太田町 井仁(棚田)

体験授業と地域講義

担当ゼミ責任者 吉村幸則
地(知)の拠点担当教員 大泉賢吾・天野通子・細野賢治・山尾政博

中山間地域の棚田農業体験と産直市

 傾斜地を多く抱える広島県の農業は、厳しい条件のなかで行われています。安芸太田町の井仁地区は美しい棚田景色が有名です。1999年に農林水産省によって日本の棚田百選に選ばれています。その景色の美しさは様々な人によって紹介され、最近ではアメリカのニュース・メディアのCNNにも取り上げられ、訪れ る人が増えています。

井仁教養ゼミスケジュール

 

 ただ、井仁地区では人口の減少が続き、高齢化も進んでいます。現在は23世帯、49人が住み、高齢化率は59.3%です。また、耕作放棄地が増え、鳥獣害に悩まされています。

 吉村ゼミの学生たちは、棚田での体験、産直市の視察を通じて、厳しい条件下にある農業を実感するとともに、さまざまな生産者の取組があることを知りました。

太田川産直市場の視察

  産直市は、市場に販売しにくい少量の農産物や、安全上は問題のない規格外のものを農家が持ち込み、消費者に近い関係で販売するところです。JA広島市戸河内支店が運営していますが、地域起こし協力隊の大坪史人さんがこれを支援しています。大坪さんより、野菜の値段のつけ方、ラベルの貼り方、メールで販売状況を知らせるシステム等について説明を受けました。130人の農協組合員が販売者として登録しており、常時、40-50人が利用しているとのことです。

産直市の説明を受ける

産直市の説明を受ける

集まった新鮮な農産物

集まった新鮮な農産物

 井仁地区の農業

説明する河野会長

説明する河野会長

 井仁地区の棚田交流館に場所を移し、地域農業と社会についてお話しを伺いました。

  「井仁の課題解決と夢の実現に向けて」と題して、イニピチュ会長の河野司さんが、棚田農業の様子を説明されました。以前には525枚の棚田がありましたが、減少を続けて現在は200枚を切っているそうです。1枚当たり2アールの小さな田が多いですが、ここで生産される棚田米(コシヒカリ)は一般米のほぼ 2倍の価格で販売されています。
 地域には生活の知恵があり、技術があります。河野会長はお年寄りが経験に基づいて教えてくれることを大切すべきと強調されました。学生からは高齢化、兼業、学校のことなど多彩な内容の質問がだされました。

広島大学生物生産学部との連携

  井仁地区と生物生産学部との連携は長く、毎年開かれる田植えと稲刈りの体験会には多くの学生・院生が参加しています。また、地区のマスター・プラン作りの 際には、学生・院生がお手伝いさせていただきました。長年にわたる連携関係のもとに、体験授業が実施されることになりました。

棚田の田植え体験

棚田の田植え体験

  昼食は地域の女性たちが差し入れてくれた棚田米のおにぎり、バーベキューを楽しみました。その後は棚田の田植えをしました。歩行型2条の田植え機は、男子学生が指導を受けながら挑戦しました。また、隣の水田では、小室博治さんのご指導のもと、線引きと手植えに学生が励みました。棚田とはいえ、手植えをするとかなり広く感じます。水田の泥に足をとられながら、学生たちは田植えを楽しむとともに、その大変さも実感したようです。

田植えをする学生たち

田植えをする学生たち

田植えの指導を受ける

田植えの指導を受ける

意見交換と記念写真

  井仁地区で活動する地域起こし協力隊の渡辺良平さんの提案により、学生たちが田植えをした田には、学生がデザインした「広大生物生産学部田」(仮)の看板 を立てることになりました。河野会長のご挨拶に続き、安芸太田町の矢立純さん、井仁地区の小室博治さん、渡辺良平さんが感想を述べられました。2人の学生が体験したことの意義を述べ、感謝の気持ちを表しました。棚田の条件の厳しさを実感したようです。チューターの吉村幸則教授が井仁地区と役場に感謝の意を伝え、学生にとって貴重な場となり、今後は事後学習に努める旨を述べられました。最後に、井仁の棚田を一望できる展望台にて、記念写真を撮影いたしました。

追記:
安芸太田町役場の地域づくり課長の来栖一政様、主査矢立純様、沖段智世様には大変お世話になりました。

吉村ゼミ体験授業の発表

吉村ゼミ体験授業の発表

 平成27年7月1日(水)に実施した地(知)の拠点教養ゼミ体験授業発表会における吉村ゼミ(1年生 11名)の発表概要は、以下の通りでした。

  • 山県郡安芸太田町中筒賀井仁に田植えに伺いました。
  • 地元「太田川産直市」を訪問。地域密着・地域自治型ですが、経営理念の徹底により、客数・売上げ共に増加しているそうです!農作物以外も農家特有の様々な品物がありました。
  • 地域講義1<井仁の課題> ♪棚田の郷♪に歌われるほど美しい棚田ですが、後継者不足と高齢化により、実際に稲作が行われている田んぼは半分ほど。それでも、子孫に棚田を譲り渡したいと願う地元の方々の複雑な思いをうかがいました。
  • バーベキューでお昼。とびきりおいしかった棚田米のおにぎり。寒暖差ときよらかな水により、粘りのある甘いお米ができることを教えていただきました。
  • 全員で田植えを体験。田んぼの線引きのあと、一定の間隔で、一定の深さまで、苗を植えていくことで、苗が均一に豊かに成長することを教えていただき、作業しました。
  • 地域講義2<先人の知恵> 「お年寄りには生活の知恵がいっぱい。だから、多くの若者に、お年寄りと接して先人の知恵をいっぱい受け継いでいってほしい。」棚田保存会「いにぴちゅ会」会長からの熱いメッセージでした。
  • 私たちの考えた井仁の課題と解決策 「人口減少・高齢化、労働力不足を解消するために、若者を呼び込むことが必要で、そのためには、他にはない井仁のオンリーワンを探すことが解決策だと思います。私たちは、これからも井仁と関わり、稲刈りや田植えにも来て、オンリーワン探しに協力してゆきたいと思います。」
  • セレモニータイム。広大の田んぼに立てる看板を棚田保全会いにぴちゅ会会長に贈呈しました。ゼミ生が、美しい景色を阻害しないよう、パステルカラーで描きました。