実岡ゼミ 世羅町 世羅幸水農園

体験授業と地域講義

担当ゼミ責任者 実岡寛文
地(知)の拠点担当教員 大泉賢吾・天野通子・細野賢治・山尾政博

世羅町は、広島県の中東部に位置し観光農園や農作物の販売所が多く、6次産業化の取り組みに積極的な地域として有名です。

 世羅幸水農園は世羅高原にあり、幸水を中心とした大規模梨園の果樹全面協業経営、果物狩りも楽しめる多品種の果樹園、後継者育成、法人経営による福利厚生の充実が特徴です。また、世羅町の6次産業ネットワークを通じた地域連携・共存を図る経営を重視しており、地域の中核組織になっているばかりか、第43回 日本農業賞の大賞を受賞するなど、全国的にも極めて有名な農事組合法人です。

 同組合の50年に渡る苦難の歴史と発展過程には、「連帯と共存」という初代組合長から引き継がれている経営理念が根本にあり、事務所やHPにある全員の集合写真はこの理念を理解するきっかけにもなるようです。

 世羅幸水農園では、組合の主力栽培品目である「幸水梨」の摘果作業やぶどう「シャインマスカットなど」の芽剪り作業などを行うと共に、原田組合長の講義を受けました。

 特に、梨の摘果は腰をかがめながらの単調な作業を一日中行うものでした。この作業こそが梨栽培や梨経営の基本となる重要なものとの原田組合長や組合の方々の強い思いから選ばれた作業であることを十分認識して、学生は一生懸命取り組みました。

幸水スケジュール表

1.原田組合長からの講義

世羅幸水農園への意識が高まった原田組合長の講義

世羅幸水農園への意識が高まった原田組合長の講義

赤ナシ栽培のパイオニアとして、昭和38年に世羅幸水農園が設立されたが、凍害・台風・世代交代など現在までの苦難の道を歩み、全員の努力で26年に天皇杯を受賞するに至ったことが説明されました。

 一方、世羅町でも高齢化が進み65歳以上の人口が1/3を越え、後継者不足による農業の危機が迫っており、世羅6次産業ネットワークなどとともに農業経営も観光農園化や6次産業などで多様な展開を進める必要があると訴えられました。

 梨の栽培については、特になぜ梨の摘果が必要か、またその重要性を説明いただきました。

 6次産業化への取り組みとして、梨栽培から、せら梨ゼリー、梨のたれ、世羅梨ドレッシング、なしのポン酢、梨のシャーベットを製品化・販売しているほか、世羅高校と連携した梨ランニングウオーターを紹介いただきました、梨ランニングウオーターは、1年足らずで10万本のペットボトル販売の実績を上げ、実際に梨の香りと味がしっかりある世羅を代表する商品に成長したとのことでした。

 すべての学生から質問が出るなど、興味深い話で、世羅や幸水農園への学生の関心が一層高まったようです。

2.梨の摘果作業

梨の摘果作業

事務所近くの梨園に移動して、原田組合長と若手の従業員の方から摘果作業の仕方を詳しく教えていただきました。

 原田組合長が摘果されると簡単なように見えたのですが、実際学生がやってみると数本ある梨の幼果のどれを1本残すか考え込み、なかなか作業が進みませんでした。 だんだん作業になれて、ある程度のスピードで摘果ができるようになりましたが、隣の圃場で作業されている職員の方とのスピードや的確さは比較にならないほど違っていました。

 午後も摘果作業を行ってやっと作業スピードが上がって来た頃に、大粒の雨が当たってきたため、ぶどう園の芽剪り・つるきり作業へと変更になりました。もう少し、梨の摘果作業を続けたかったので、学生は皆残念な様子でした。

3.体験終了のお礼について

幸水農園の直売所「ビルネラーデン」も見学しました

幸水農園の直売所「ビルネラーデン」も見学しました

最後に、学生から原田組合長や職員の方にお礼を申し上げ、全員で記念撮影を行いました。また、直売所であるビルネラーデンの見学を行い、体験授業を終わりました。

この体験授業授業を通して、学生は世羅幸水農園の「連帯と共存:人間はお互いの連帯によって共に生きる能力を持っている特性がある。その特性を生かし合うことが当然なのではないか(初代組合長)」という理念に触れ、組合の姿を深く学ぶことができたように思われます。また、摘果という単調な作業の中に、農業・農作業の大切なことを見つけたようです。

 また、組合長から要望のあった学生の発想やアイデアを生かした世羅梨の新製品開発・ブランド化、都市農村交流、さらには地方創生に、少しでも貢献できる人材が育つことが期待されます。

実岡ゼミ体験授業の発表

実岡ゼミ体験授業の発表

平成27年7月1日(水)に実施した地(知)の拠点教養ゼミ体験授業発表会における実岡ゼミ(1年生 11名)の発表概要は、以下の通りでした。

  • 世羅郡世羅町の幸水農園に伺ってきました。
  • 世羅町は人口の高齢化が進んでおり、65歳以上の人口比率が36%です。そんな中、農業の生き残りをかけ、世羅幸水農園は農業の6次産業化を進めてきました。
  • 6次産業とは、農業経営体(1次)が、食品加工(2次)に加え、流通・販売(3次)にも業務展開、経営の多角化を図る取り組みです。(1次産業×2次産業×3次産業→6次産業)
  • <1次産業> 梨の栽培では大玉・高品質化に努力、摘果(今回ゼミ生が体験)など手間暇かけた作業で、世羅梨のブランド化に成功してきました。(栽培面積56.61ha。年間出荷量50万kg)
  • <2次産業> せら梨ゼリー、シャーベット、たれ、ドレッシングなど、様々な加工品を展開、特に世羅高校と共同開発した、「世羅っとした梨ランニングウオーター」は販売1年足らずで10万本を売り上げています。
  • <3次産業> 梨直売交流施設「ビルネ・ラーデン」を経営。梨以外の近隣農家の農作物も扱い、世羅町農業全体の底上げに貢献すると同時に、6次産業を意識した、終年の観光客集客を目指した活動が評価され、国の未来戦略に採用されました。
  • 世羅高原六次産業ネットワークとの連携を大切に、小学生農業体験学習の受入れ、コーディネータ養成研修等といった活動をしてきました。特産品の自前加工、グリーンツーリズム、ホームページの情報発信・ブランド化等の活動も評価され、平成26年、国の総合化事業に認定され、天皇杯も受賞しています。
  • これから幸水農園は? 家族的協働経営、安全な食の提供、生産性の向上を3つの柱としつつ、6次産業化の強化を目指していきます。