2015年6月6日
地(知)の拠点 教養ゼミ体験学習 ファームおだ(冨永ゼミ)
中山間地域の集落営農のモデル地区
東広島市河内町小田地域、農事組合法人ファーム・おだは、広島県はもとより全国的にも有名な集落営農のモデルです。広島県は地域農業・農村社会の条件不利地化が進んでいましたが、小田地域では平成の大合併を機に小学校・保育園・診療所の統廃合が重なり、地域社会の存続の危機に直面しました。2003年に「自治組織 共和の郷・おだ」を設立し、地域課題を自ら解決しながら、行政などに支援を提案する活動を始めました。農業では、集落営農を法人化し、2005年には「農事組合法人ファーム・おだ」を設立しました。設立時の参加者は128名、参加率は87%でした。
現在のファーム・おだは実に多彩な活動を行っています。農作業の協業化と機械の共同利用に始まり、組合員農地の管理、野菜栽培、農産加工品や米粉パンの製造・販売、直売所の運営などをおこなっています。
厳しい生産環境、生活条件下にあっても、知恵をだしあい、工夫をしながら暮らしているファーム・おだの吉弘昌昭組合長理事他、皆さんの指導のもと、冨永ゼミの学生たちは体験授業を行いました。
稲の成長と田植え作業内容
小田地区多目的施設にて、吉弘組合長から稲の成長についてご説明いただきました。これから学生たちが体験する田植え作業は、1100平方メートル(11アール)というやや大きな田圃で行うとのことでした。体験田植えの面積としては広いものです。品種はヒノヒカリ、深植はしないで2-3㎝程度でよいとのこと。田植え綱を用いるので、赤い目印のところに植えるようにとの指示がありました。
ファーム・おだの組合員さんと一緒に
冨永ゼミの学生たちのために準備してくれた田には、吉弘組合長の他、8人の組合員さんが合流してくださいました。田植え綱を張り号令にしたがって学生・教員、それに組合員さんが横一列に並び、一斉に苗を植えていきます。苗を均一に植えるといいますが、作業の進み具合が違い、植えた苗にもデコボコが目立ちます。それでもしだいに慣れて、終了間際の作業は多少はやくなりました。
機械植えなら20分で済むという11アールの田を、1時間半かけて手植えしました。学生たちは達成感を味わったようです。
寄りん采屋にて地域食材料理を楽しむ
昼食は道の駅寄りん采屋というファーム・おだが運営するレストランでした。ご飯は小田米、やさいたっぷりの天ぷら、煮物、キュウリの酢の物、漬物、それにざるそば、おいしくいただきました。食べながら、レストレンの従業員さんが食材の話しや、小田のユニークな煮物について説明してくださいました。
「ファーム・おだ 集落営農の取組」
午後、吉弘組合長より、ファーム・おだの取組について説明を受けました。設立前には5年後の営農の見通しが立たないという状況だったのですが、集落営農活動が軌道に乗った今、組合員さんは安心して農業活動に参加しています。個別農家で農業機械を購入していた時、小田地区では7億3千万円もの投資が必要でした。今は、ファーム・おだがまとめて投資するために、農家が負担するコストは大幅に低下しているそうです。防除のための無人ヘリも利用できます。
活動の成果として、小田地区には若い人たちが帰ってきています。地元での就業に結びついているわけではありませんが、活気が戻りつつあります。
学生たちは、予め学習してきた内容と説明にもとづき、吉弘組合長に積極に質問をしていました。
新しいビジネスを開発する
ファーム・おだは市場価値の高いリーフ・レタスの生産を試みています。学生たちは新しいタイプのハウスを見学し、ユニークな方法で栽培しているレタスを試食しました。また、米粉で作るパンを売るパン&マイムでは、試食を楽しみながら米粉パンを買っていました。
新しいビジネスに挑むファーム・おだでの体験実習は、学生たちに深い印象を与えたようです。
最後に学生の代表が吉弘組合長に感謝の意を表し、皆で記念写真を撮影しました。