2015年5月24日
地(知)の拠点 教養ゼミ体験学習 太田川漁協(冨山ゼミ)
河川漁業を守る人々、太田川漁協での体験
太田川は廿日市の冠山に源流をもち、瀬戸内海にそそぐ全長103kmにわたる一級河川です。あゆ、あまご、こい・ふな、うなぎ、かになどを対象に漁業を行う組合員が参加するのが太田川漁協です。冨山ゼミの学生たちは、太田川漁協が実施する河川清掃に参加させていただきました。漁協組合長、理事、総代、職員の皆さまのご協力により、あゆの塩焼き体験、河川観察とあゆの放流、川の生き物の展示と解説、あゆ漁業の様子など、盛りだくさんなメニューを体験することができました。
太田川漁協の組合員の皆さんは、持続的に漁業を営むことに努め、あゆを始めとする水産資源の増養殖活動を行っています。学生はそうした活動の一端を知り、体験することができました。
大変だった河川清掃
漁協の地区総代のお二人のご指導のもと、学生は河川清掃を行いました。ヨシが茂る川の中を、上流から下流に向かって1キロ近く、ゆっくりと作業をしました。思ったほどにはゴミはありませんでしたが、ヨシに絡まったビニールが多かったようです。川底には大小さまざまな形をした石があり、慎重に歩きました。流れが速く、水はひざ上までありました。お借りした胴長を着て川を進むのは大変でした。
夢中になった河川観察、アユの放流
河川観察は思った以上に楽しかったようです。さすが、生き物に興味を抱く学生が多い生物生産学部。網ですくった生き物の名前を、漁協の組合員さんが教えてくださいました。川に入って生き物を探す体験は久しぶりだったようです。この日のために組合に準備していただいたアユを放流しました。“大きくなって子供を増やしてくれ”と念じながら放流して欲しいとのこと、印象的な言葉でした。
水辺の教室、アユ漁の話し
太田川漁協では、小学生を対象にして移動式水族館のような活動をしていました。川に生息する生き物について、わかりやすく解説していただきました。大学生にとっても新鮮な内容でした。
アユ漁については、投網、建網、竿釣りなど、漁具の使い方を見せていただきました。投網は以前には広く行われていたようですが、現在はあまり見かけなくなったとのこと。漁協がどのように漁業を管理しているか、具体的な話がありました。禁漁区、禁漁期間などのルールがあり、遊漁者にも守るよう監視活動を行っています。
アユなどの放流のために、中間育成に取り組んでいます。育成施設を所有し、市や県の種苗センターと協力しながら、資源を増やそうと努力しています。ただ、アユなどの漁獲量は減少しています。漁業者が減少しているのも大きな原因かもしれません。
楽しく見聞した太田川の漁業
参加した学生たちは河川漁業に関心をいだき、水辺の生き物に興味をもったようです。漁業者の高齢化が進み、河川漁業に明るい未来が約束されているわけではありません。ただ、資源の増養殖に努め、ルールを守って漁獲を行っている漁業者と組合がいることは確かです。参加した学生にはそのことを理解してくれたと確信します。