H29 西堀ゼミ・三本木ゼミ 東広島市 トムミルクファーム他

トムミルクファーム・シバザクラの里乃美・うやま体験学習

( 西堀ゼミ・三本木ゼミ ) 

担当ゼミ責任者 三本木至宏・西堀正英

地(知)の拠点担当教員 大泉賢吾・細野賢治・山尾政博

 トムミルクファームは東広島市の豊栄町において6次産業化・開かれた牧場を目指し、乳製品加工・販売を手掛けると同時に、牧場を公開した一般向け酪農教育も行うなど多様な雇用型酪農経営を行っています。また、この周辺の経営体である農事組合法人「シバザクラの里乃美」や「うやま」との耕畜連携を進めるなど、トムミルクファームを中心に地域が一体となった地域活性化に取り組んでいます。

 今回の教養ゼミ体験学習は、トムミルクファーム・シバザクラの里乃美・うやまの3つの組織の協力を得て、三本木ゼミ、西堀ゼミの2グループなど29名の学生が体験学習を行い、受け入れ先と本学の教職員10名余が指導を行いました。

トムミルクファーム沖代表取締役・シバザクラの里乃美高橋代表理事等の講義

 「沖正文代表取締役は、昭和55年に就農し、徐々に酪農の専業を図っていったが、家族労働主体から雇用労働型への検討などを進め、牛も人もストレスを感じることなく、持続可能な酪農とするためフリーバーン方式の牛舎を建設し同時に牧場の法人化とともに雇用型酪農を展開することとなった。「酪農業は地域に根付いたものでなければならない」との思いから、平成17年にジェラートショップ【十夢ジェラート】をオープンし、「地域と消費者の接点」となるような牧場で搾った生乳を100%使用した牛乳【十夢みるく】アイスクリーム【十夢ジェラート】を販売し、その後まきばカフェもオープンした。また、酪農教育ファームの認証を取得し、食と命の大切さについての学習を始め、酪農体験学習レベルアップに取り組んでいる。しかしながら、豊栄地域も高齢化が進み活力の低下が顕著になってきていることから、あと数年で具体的の対策を打ち出す必要があるとの危機感を持っており、県央商工会とも連携して進めていきたい。」という講義が行われました。

 また、シバザクラの里乃美の高橋代表理事は、「この法人は、「環境に優しい農業と暮らし」を考え、安全で安心して食べられる農産物の生産・安定供給基地を目指して努力している。具体的には、安全・安心の環境にやさしい農産物の生産、都市住民との交流のオーナー募集制度、耕畜連携による特別栽培米の生産・販売など、独自の取り組みを進めている。しかし、獣害対策は営農上の大きな課題となっており、集落を囲む獣害防止柵の設置などを進めているが、維持管理も大変な作業でもある。という講義が行われました。

トムミルクファームからシバザクラの里に至る獣害柵の点検作業

 最初の作業は、2班に分かれてトムミルクファームからシバザクラの里に至る1キロ余りの獣害柵を歩いて点検しました。田んぼから深い山林に入ってくコースに獣害柵が設置してありますが、最初の設置作業も大変苦労されたと思われる場所が多くありました。

 点検の途中には、イノシシが侵入して田んぼを荒らしているところがいくつかありました。山林の中に入っていくと、捕獲檻も設置され、イノシシとの日々の戦いがよくわかる現場がたくさんありました。柵は、地域の方による管理がしっかり行われているようで、補修するようなところはありませんでしたが、電柵付近の草を少し刈る手伝いを行いました。電柵は、昼間は電気を流していないところが多いとのことでした。

 

 

トムミルクファームの現場の研修

 獣害柵の点検を終わり、その帰りにトムミルクファームが設置を予定している獣害対策にも有効な「水田放牧」のほ場を見学しました。その後沖代表から、トムミルクファームの牧場施設を案内していただき、主要なところで学生から質問をして、沖さんに回答をしていただき、牧場内での貴重な経験が出来ました。

イノシシ・シカ肉の入ったジビエカレーで昼食

 お昼は、トムミルクファーム特製のジビエカレーをいただきました。ジビエとミルクが入った独特のカレーはとても美味しく、鍋いっぱいにつくっていただいたカレーを何回もおかわりして、きれいに全部いただきました。また、朝から、ずっと体験学習の取材をされていた「カモンケーブルテレビ」の方からのインタビューがあり、緊張しながらなんんんかの学生が質問に答えていました。

うやまなど県央地域(豊栄・河内・福富)での現地研修

 昼食後は、東広島市の県央地域と呼ばれるところの現地研修です。東広島市の中では、条件が悪い中山間の厳しい農業が行われているところです。

 農事組合法人うやまが管理している「さわやか茶屋」で、坂田理事からうやまの取り組みについて講義を受けました。源流水での米作り、豊かな土でそばづくり、皆で生かす我らの農地、明るく楽しく共同作業、収穫の顔幸せ一杯が、うたい文句で地域が一体となって過疎化に取り組んでいる。とのことでした。

次に、この地域に移住され皮革加工・販売をされている店舗を見学しました。そして最後に地域と地域の大きな企業(サタケ)などが、地域活性化につなげるために取り組んでいる「豊栄くらす(レストラン、ごはん、自転車)」を見学しながら、その周辺にある素敵な景色と観光資源も見て回りました。

 大学の地元にある中山間地域の豊栄・河内・福富(県央)の地域・産業・暮らしも学びながら、トムミルクファームなどが抱える地域課題を深く学んだ充実した1日めいっぱいの体験学習になりました。

 トムミルクファーム、シバザクラの里乃美、うやまなど、体験学習をご指導いただいたたくさん皆様、本当にありがとうございました。