H28 前田ゼミ 大崎上島町 海藻塾・フィッシング中村

教養ゼミ体験授業の報告 (平成28年6月11日)

担当ゼミ責任者 前田照夫
地(知)の拠点担当教職員 大泉賢吾・天野通子・細野賢治・山尾政博

 大崎上島町の漁業は企業的経営が多く、マダイ・ヒラメなどの養殖・種苗生産をいち早く始めるなど、意欲的な取り組みが行われ、同時に島全体で漁業体験等がメニュー化されてきています。
 大崎上島町食文化海藻塾では、磯や浜辺で、海の生き物や海藻の観察・採集を行い、海藻がどう育ち、何が食べられるかなど、海藻の食文化づくりと新たなマーケットの創造まで考える、新たな活動が展開されています。
 また、同町のフィッシング中村さんでは、遊漁船などの経営とともに、刺し網漁などを体験できる民泊などにも取り組んでいます。
 今回の体験授業では、大崎上島HAPPYトライアスロンが教養ゼミ体験授業の翌日に開催されると言うことで、そのメイン会場となる大串海岸の清掃作業を最初に行いました。
 その後、大崎上島食文化海藻塾の道林塾長から講義を受け、海藻塾の皆様が試作された海藻料理などを試食させていただきながら、皆様と交流させていただきました。
 午後には、フィッシング中村さんの2隻の遊漁船に乗って、刺し網漁を体験するとともに、網にかかったイカなどの刺身づくりや塩焼き用の魚料理づくりも行いました。

 

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大串海岸の清掃作業
 大串海岸のキャンプ場で、道林塾長と金原さんから海岸清掃について説明を受け、早速作業に入りました。
 大串海岸は綺麗な砂浜が広がっていますが、約1キロに渡ってゴミが打ち上げられていました。植物残渣などが主なゴミでしたが、ペットボトル、ビニール・発泡スチロール、漁網の一部などもかなりありました。2班に分かれて、それぞれが約500メートに渡ってゴミを集めました。砂浜を歩きながらの作業は、かなり大変で汗が噴き出てきます。また、翌日トライアスロンが開催されると言うことで、膝上まで海岸に入って水中のゴミも集めました。
 島の美しい海岸を守ろうと、学生みんな熱心な作業が続きました。

大崎上島町食文化海藻塾、フィッシング中村、 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業

1キロに渡る海岸清掃は大変な作業です

大崎上島町食文化海藻塾、フィッシング中村、 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業

トライアスロンに向けて水の中も清掃

 海岸全体の清掃が終わった頃には、みんなくたくたです。しかし、集めたゴミを堤防の外に出す作業が残っています。集まったゴミは、コンテナ50個分くらいはあったでしょうか。みんながんばりました。
 大崎上島の方々に、少しでも喜んでもらえばと思いながら、なんとか海岸清掃を終えました。

大崎上島町食文化海藻塾、フィッシング中村、 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業

ゴミを入れたコンテナを堤防の外に

大崎上島食文化海藻塾の道林塾長からの講義
 海藻塾とはから始まり、海藻への着目、漁業者中心でなく地域住民が中心であること、大崎上島町の食生活のなかの海藻~昔、今、将来、海藻を知る、海藻を試食する、海藻を使った商品開発、ビジネス化、豊かな藻場再生への取り組み、また磯の観察会を開催していることなど、多方面な講義をいただきました。
 学生は、瀬戸内海に存在する300種の海藻のうち、175種が大崎上島に存在するとの話に驚いていたようです。
 また、大崎上島における、わんぱく塾、体験型の民泊(修学旅行等)、大崎上島学という授業を小中高で行うこと、中高一貫校のグローバル校の設立が予定されていることなど幅広いお話もお聞きしました。

大崎上島町食文化海藻塾、フィッシング中村、 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業

道林塾長の講義

 道林塾長の講義と並行して、海藻塾の女性メンバーの方々が、いろいろな海藻料理を作っていただいており、講義が終わったらすぐに試食をさせていただきました。
 料理に使った海藻は、フトモズク、あおさ、アカモク、ひじき等でした。これをメインに、海藻の味噌汁、もずく酢の物、牛乳寒天、たけのこ、ミョウガ、アオサの天ぷら、海藻入りドーナツなど普段味わえないものにしていただき、どれも大変美味しい料理でした。
 美味しい料理で、海岸清掃の疲れがとれました。海藻塾の皆様、本当にありがとうございました。

大崎上島町食文化海藻塾、フィッシング中村、 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業

海藻料理の数々

大崎上島町食文化海藻塾、フィッシング中村、 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業

海藻塾の皆さんと記念撮影

 

フィッシング中村さんで刺し網漁
 午後は、フィッシング中村さんにご指導をいただいて刺し網漁を体験しました。フィッシング中村さんは中吉丸という遊漁船を中心に、釣りえさなどの店舗もお持ちの方です。息子さんも、遊漁船を持って大崎上島で働かれているなど、島の漁業の代表者の一人です。大崎上島町が進めている、「まるごと島体験」の銘打った修学旅行生の民泊体験にも協力され、様々な漁業体験ができるところにもなっています。
 また、海藻塾で説明を受けた海藻「アカモク」を大崎上島ではじめて商品化して「中村さんちのおいしいいアカモク」で販売されています。これは奥様方の手作りで、「天然、手摘み、天日干し」を特徴に、何とか大崎上島の特産品に育てたいとお考えのようです。

 さて、刺し網漁の体験では、フィッシング中村さんのすぐ近くの大崎内浦漁港に集合して、中村さんと若手漁業者の方から、今日の漁について説明を受けました。刺し網漁は、魚の通り道に帯状の網を仕掛け、その網に魚が刺さったようになることから「刺網」と呼ばれており、夜のうちに漁場に網を仕掛けておき、早朝網にかかった魚をふるい落としながら漁獲する方法とのことです。
 当然ではありますが、今回の体験漁は午後からということで、少し魚が網にかかっている程度だろうとのことでした。刺し網は、中村さんが昨日の夜に入れていただいていたものを、学生が体験させていただく形です。

 2隻の遊漁船に分かれて出発です。船は波しぶきを上げて港から漁場まで向かいます。目印の浮きを上げて、刺し網漁の始まりです。中村さんがリモコンで船をゆっくり進めて、学生が網をたぐりやすくするよう早さや方向をコントロールしていただいています。
 網を上げていくうちに、イシダイ、カワハギ、イカなど、いろいろな魚を上げることができました。タコもかかっていましたし、驚きの大きさのヒラメが上がってきたときには、みんな歓声をあげました。

大崎上島町食文化海藻塾、フィッシング中村、 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業

瀬戸内海へ漁に出発です

 

大崎上島町食文化海藻塾、フィッシング中村、 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業

タコも網にかかりました

 このあと港に戻って、刺身づくりや内臓を出して塩焼きの準備をしました。中村さんのご厚意で、その場で炭火で魚を焼いて食べさせていただきました。
 最後に、中村さんから日頃のご苦労をお話しいただきました。今でこそ順調に遊漁船経営が出来ているが、漁業は苦労の連続で、これを乗り越えて今があることなど、貴重なお話しばかりでした

 大崎上島町食文化海藻塾の皆様、フィッシング中村の皆様、ありがとうございました。

大崎上島町食文化海藻塾、フィッシング中村、 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業

フィッシング中村さんと記念撮影